本と電子書籍
昨日からジャン゠フランソワ・マルミオンというフランスの心理学者がまとめた『「バカ」の研究』(亜紀書房、2020年)という本を読んでいます。
本書はマルミオンさんが世界中の行動経済学、認知心理学、情報科学、哲学、人類学の専門家とバカについて話したり、彼らの原稿を集めてバカを徹底解析した専門一般書です。
アマゾンでサンプルを読んだときに何度もガハハと大笑いしたので、早速図書館で借りてきたのですが、サンプルを読んだときほど笑えない。
「なぜだ? 読むのが2回目だからか?」と考えて、気づきました。
背景の色と、フォントが違うのです。
出典:アマゾン
背景の色とフォントが違うだけで、中身の印象がこんなに変わるとは!!
本作りは、内容に合わせて表紙や紙選び(大きさ、種類、厚さ、色)に始まり、フォントや文字の大きさ、1ページの行数、行間の幅、1行の文字数、文字間、余白のとり方などを細かく決めるため、同じ内容の本でも読みやすい/読みにくい、しっくりくる/こないの違いが生まれることは知っていました。
でも、そこから受ける中身の印象がこれほど変わるのであれば、単に便利だからという理由で、基本的な体裁の決まっている電子書籍を選ぶのも考え物だと思いました。
もちろん出版社によっては、あらかじめ本のスタイルを決めているところがあり、テンプレートに文章を流し込む形態をとることもあるようです。
しかし1冊ずつ本のかたちを決めるところ/ときは、編集者の方がベストだと思われる選択をしてできています。
本の体裁にまつわる好みは人それぞれで、中には「もっと読みやすくしてよ」「これは違うだろ」と思う本もあります。
ただ、著者(と翻訳者)に次いで、誰よりもその本を読んでいる編集者がベストだと思って決めた状態の本と、基本的には一律の体裁になっている電子書籍では、作り手の意図の量が全然違います。
意図の量の少ない方が、単純に中身だけを読めてよさそうですが、今回の例のようにデフォルトの設定にも読者は影響を受けているのです。
わたしがデジタルのサンプルを読んで何度もガハハと笑った本は、笑えない本だから笑えない体裁にしているのかもしれません。
たしかに冒頭から以下の警句で始まっています。
「この門をくぐる者は 一切の希望を捨てよ」
もし編集者の方が意図的に笑えない体裁にしているとしたら、やはり本の体裁は大事。
その答え合わせをするために、最後まで読んでみます。
まぁ、「バカは気づかない」ので、答えが合わない可能性も十分にあるのですが。


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