『小山さんノート』

 

昨日、今日と2日連続で、『朝日新聞』の「折々のことば」に、『小山さんノート』という本の中から印象的な言葉が紹介されています。
わたしもそれを読んだ瞬間、「これは!」と思い、アマゾンでサンプルをダウンロードして読みました。

この本は、2013年に亡くなった小山さんいうホームレスの女性が遺したノートを、有志の方々が8年以上かけてまとめたものです。
まだサンプルを読んだだけなのに、強く印象に残る言葉や思いがあふれていて、それに触れたわたしは消化しきれていません。
もちろん全部読むつもりですが、サンプルを読んだだけでも、これほど心を動かされる。
すべてを読んだあとの自分はどうなるのだろうと思うくらい、感じ、考えさせられる本です。

小山さんご自身と、小山さんの最後に立ち会ったいちむらさん、80冊以上ある手書きのノートを有志の方々と文字起こししたワークショップの登久希子さん。
『小山さんノート』に収録された全員の文章、内容が素晴らしい。

体調不良の小山さんをずっと看護していた公園(テント村)仲間のいちむらさんは、小山さんが亡くなったあとにこのノートをみつけ、一緒に燃やそうと火葬場に持参したのですが、ふと開いた瞬間に、「これは残さないといけない」と思いました。
いちむらさんご自身も非常に優れた文章を書かれる、感性豊かで知的な方(本の表紙の絵も、いちむらさんによるもの)。
小山さんのノートが彼女の目にとまらなければ、その後の展覧会や朗読会、文字起こしにいたる一連の流れは生まれなかったのです。
それだけ多くの人の心を動かし、熱いうねりを生んだ小山さんノートの力は、出版にいたるまでの経緯を見ただけでも証明されています。

――花開く園、見渡す限り 
  息づく命、それぞれに――
  (「序章」より)

どんなにお金がなくても、読書と書くこと、喫茶店で過ごす優雅な時間や、豊かな空想を愛し続けた小山さん。
そして、高級タワーマンションに住み、いわゆる〝豊かな〟暮らしをしている人よりも、小山さんの方がずっと豊かに生きたと感じる自分。

これほどまでに知的で、世界にやさしいまなざしを向け、すべての恵みに感謝して、つつましやかに、でもとても豊かに生きる女性が、ホームレスという不便極まりないかたちでしか生活できなかったことに静かな憤りを感じてしまいます。

「私は私の心に忠実に生きていきたかった」(「序章」より)という小山さんは気高い。

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