北海道旅行の思い出:4日目後半

 
礼文島を北に向かって歩く8時間コースを終えた時点で朝の9時。
キャンプ地に戻るにしても、さすがに早すぎます。
かといって岬めぐりコースは、もう人がいっぱいでしょう。
少し早いけどテントの中で読書でもいいかと思い、再び歩き出す。
礼文島は車が少ないため車道歩きもそれほど気にならないけれど、これからアスファルトの道を15キロも歩くのは足に負担がかかりそうだと思い直し、バスに乗ろうとバス停に向かう。

そこでしばらくバスを待っている間、続々とお仲間(観光客)がやってきました。
1人の男性にバスの乗り方を尋ね、そのついでに礼文岳のことを聞くと、山頂からは島全体が見えると言います。
でも、わたしにはもう水と食料がありません。
そう男性に告げると、「500円の弁当とお茶を持ってます。わたしはもう歩きませんから、よかったら差し上げましょうか?」と言うではありませんか。

8時間コースを歩いたあと往復4時間の礼文岳コースを歩けるか? 自分。

「もうすぐバスが来ます。決めるなら今です」
そう言われて一瞬考えた末、行くことを決意。
ただでお弁当とお茶をいただくのはあまりにも悪いため、1000円を手渡して乗車。
急遽決まった礼文岳登山に向けて、行動食のナッツと柿ピー、いりこミックスをムシャムシャと食べました。
今思えば車内で飲食してもよかったのかがわからないけれど、その時は「食べねば!」としか考えていなかったのです。ごめんなさい、運転手さん!

そして歩き始めた礼文岳は、8時間コースの藪の中を歩いてきた自分にとって遊歩道なみの快適さです。
ほかの人をスイスイ追い越して鞍部(山の間のくぼみ)の手前に到着。
すると信じられないような爆風が吹いている!!!
体が冷えないように慌ててカッパを着て、とりあえず風がやむまで邪魔にならない所で弁当を食べることにしました。
旅館で作ってもらったという弁当は、唐揚げや卵焼きが入ってたりして♪とウキウキした気持ちで蓋を開けたら、カリカリ梅の日の丸弁当にのりと昆布が添えられた、98%ただご飯を詰めただけの代物でした。
まぁ、ウニ丼が1万円の観光地だし、500円のお弁当といったらこんなものか。。。
おかずに飢えていたわたしは若干の失望感をぬぐえないままご飯をかき込む。
しかし風は止まない。
そして、傾斜が60度はありそうな下りを前にして思いました。

無理。。。

標高500メートルもない礼文岳でも、この爆風の中この坂は下れない。
だったら標高1700メートルを越える利尻山は、たとえ登ったとしても途中で撤退していたでしょう。
ずっと後ろ髪を引かれていた利尻山への思いが、今の自分にはよほど条件が揃わないと登れないという確信に変わった瞬間でした。
やはり今回の旅で利尻山に挑戦しなくて正解だったのです。。。

そんなことを考えている間にも、さっきわたしが追い抜いた人たちが続々とやってきます。
「この風は台風並みじゃないか!」「いや、いったん下れば風を避けられるはず!」
いろいろな声が飛び交う中、自分があきらめた風と坂を突き進める人がうらやましくて、わたしは踵を返して登山口に向かいました。
あの人たちは、あのまま山頂に向かったのでしょうか。

強風が吹く中でもバランスを崩さない自信は、練習を重ねて身につけるしかありません。
山を下りても強い風の続く中、海沿いの道路をキャンプ場まで歩きました。
その日歩いた総距離、36キロ。
それだけの距離を歩けても、わたしは爆風の中急坂を下れないのです。
でも、自分の力がわかってよかった。

いつも通り夕食と翌日の準備して就寝。
気づいたら両足に10個以上の水ぶくれができていました。

登頂をあきらめた場所から礼文岳をのぞむ。
家に帰ってから地図を見たら、急坂の高低差はわずか20メートル弱でした。

(北海道旅行の思い出:5日目につづく)

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