丁寧な言葉
先日、海外の大学で日本語を教えている友人が「日本語をですます形で教えているのだけど、生徒からはタメ口を教えてもらった方がいいと言われた。日本に行った時に自分だけ丁寧語だと同年代の子の間で浮くらしい」ともらしました。
それを聞いたわたしは、「タメ口はあとで学べるんだから、最初に勉強するのは丁寧な表現の方がいいじゃん」と言っただけで、その場では説得力のある理由を挙げられなかったけれど、あとからその根拠を自分なりに整理してみました。
まず、わたしのバイト先では人に何かをお願いする際に「〇〇して!」とか「〇〇してください!」と言う人がほとんどです。
柔らかく「〇〇して」「〇〇してください」と言うならまだしも、語気強く言われると命令口調に感じます。
職場やお店など、あまり親しくない人に頼みごとをする時は、「〇〇していただけますか?」せめて「〇〇してもらえますか?」と丁寧に柔らかい口調で言った方が、相手に気持ちよくお願いごとを聞いてもらえるのではないでしょうか。
それで思い出したのが、以前わたしが家政婦を務めていたお宅の旦那さんです。
彼は3歳の子どもにも「〇〇してくれる?」「〇〇してくれますか?」という丁寧な表現を使っていて、新鮮な驚きがありました。
子どもを対等に見ている敬意が感じられるし、あなたも責任ある1人の人間なのだからきちんとしてくださいという言外の含みがにじんでいます。
常に基本が「〇〇してくれる?」「〇〇してくれますか?」である分、たまに「〇〇してって言ったでしょ!」と言った時の効果は抜群です。
父親が本気で怒っていることが一瞬で伝わり、子どもたちもキリっと態度を一変させていました。
それに、わたしはタメ口や侮蔑語を知っていても、外国語ではめったに使いません。
いくら頭ではわかっているつもりでも、100%完璧にニュアンスを理解できているか自信がないし、外国人であるがゆえに、なおさら丁寧な言葉を使った方が無難だと思うからです。
もちろん、気さくな市場のおばさんたちに丁寧語を使うと嫌味っぽく聞こえるかもしれないので、最初は丁寧語で入って、相手がタメ口だとわたしもタメ口になることもあります。
でも基本は丁寧語で、ビジネスの場面やホテルなど、外国人だからこそなめられそうな場ではさらに丁寧になって、「わたしはこういう人間です。なめるのは失礼ですよ」という雰囲気を出そうとします。
外国人のモノマネをする時、わざとぶっきらぼうな日本語を使って揶揄する日本人がいるところを見ると、やはり相手が外国人とはいえ、ぶっきらぼうな物言いに違和感を覚えている人が一定数いるということでしょう。
特に日本は上下関係を重視する国で、日本人でも(もちろんわたしも)自由自在に使えない尊敬語、丁寧語、謙譲語というハイレベルな日本語があります。
動詞の活用を教える時は、辞書を引きやすいように辞書形(例:食べる)とます形(例:食べます)を同時に教えるのが一番無難。
日本の国語の授業でも辞書形とます形を同時に教えています。
初級の日本語だと辞書形かます形のどちらかにしぼりたい気持ちはわかりますが、どちらかを選択しないといけないなら、相手に柔らかく意図を伝えられ、敬意を示し、相手からの敬意が得られやすい丁寧な表現(ます形)の方がいいのではないかと思っているのですが、どうでしょう。
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