野生の生き物

 
野外で過ごす時間が増えると、目にする生き物の種類がおのずと増えてきます。
これまでに見たことのない、あるいはその存在に気づかなかった植物や昆虫、爬虫類、両生類にも感動するけれど、鳥や動物がじっくり姿を見せてくれたりすると、「ありがとう。。。(涙)」と感謝するほど胸を打たれます。

と同時に、野山で動物に遭遇するときは、緊張感の高まる瞬間でもあります。
最初は木の葉の落ちる音にもビクっとしていたのが、徐々に音から生き物の種類や大きさが予測できるようになり、犬以上の大きさの動物が近くにいることがわかると、思わず立ち止まってしまいます。
ザザザザッ、ザザザザッという音が次々にして、目の前に20匹以上の猿が現われたときはお手上げ状態です。
こっちの出方をうかがって、完全に腰を下ろした彼ら。
わたしは静かに後ずさり、距離をとって待つしかないと思いました。
「どれがボス猿か案外わかるものなんだな」とか、「赤ちゃん猿はテレビで見るのと同じように、お母さんのお腹に抱きついているんだな」「お母さんの背中に乗っているんだな」などと思いながら、彼らがわたしを危なくない存在だと認め、立ち去ってくれるのを待ちました。

また、こんなこともありました。
まだ朝の薄暗いうちに、左側からドドドッ、ドドドッと地響きが近づいてくるかと思えば、目の前をサッと横切った大きな鹿。
「あんなのにぶつかられたら大けがするわ。危なかった!」と思いつつ右側を見ると、15メートルほど離れたところからわたしを見ています。
「あらあら、お顔を見せてくれるのね。まっすぐ逃げなかったのね」と、うれしくなりました。

しかし里山では野犬の群れに追いかけられたこともあるし(観念して立ち止まり、クルッと体の向きを変えて正対する仁王立ちになったら、犬の方も一斉に立ち止まって吠えるのをやめ、どこかに行ってくれた)、パニックを起こしたイノシシと併走したことや、体の横をすり抜けられたこともあります。
つまり、かわいくて、美しくて、出会うと感動するけど、怖い存在でもあるというのが、わたしの野生動物に対する印象です。
その出会いがどう転ぶかはわからない。
だから気配や痕跡を頼りに、なるべく遭遇しないように努める。
山に入るときの服やザックはにおいのつく洗剤で洗わないし、なるべくテントの中で物を食べない、食べ物はテントの中に置かない、置かざるをえない場合は極力においを出さないように工夫するなど、思いつく限りの対策をします。
(普通のキャンプ場でも野良猫やシカ、キツネなどにテントを破られることがあります)

それでもクマは、わたしの住む地域にはいないため、その生態が未知な分、他の動物以上に警戒が必要です。
先日読んだこの本は、クマの生態がずば抜けてわかりやすく参考になりました。


クマの1日、1年間の動き。
どの時期にどんな物を食べているのか。
どんなところをねぐらにしているのか。
それぞれに図解や写真がついていて、痕跡を元にクマを避けやすくなる情報が満載。
そして澤井俊彦さんによるクマの写真がとても美しいのです。

野生の生き物は、ただかわいいだけではないし、怖いだけの存在でもありません。
おとなしそうに見えて、突然攻撃されることもあれば、やられる!!と観念していたら、何もせず立ち去ってくれることもある。
「それがわからないから用心する」ということが大切ではないでしょうか。

なるべく会いたくないけど、会ったらうれしくもある野生の動物たち。
少なくともツキノワグマに関しては、今日ご紹介した本がとても参考になるのでおすすめです。

コメント

  1. 私の住む地域も熊はいません。イノシシもここまでは来ないだろう。
    猿はどこからか迷ってきたのか時々ニュースになります。
    近くの県の公園敷地内にきつねがいることがわかり新鮮な驚きでした。
    自宅前でも旦那様が遭遇して初めて見たと興奮してました。
    たぬきやキジはよく現れます。たぬきは人と上手く共存している印象。どこかの家でご飯をもらって生きてます。きつねは人前には出ずひっそりと暮らしているようです。

    野生動物と人との距離は遠いようで近い。

    もり子さんのように自分の身を守るため対策を講じることは野性動物の生活圏を荒らさないことになりお互いい距離感を保てるのではないかと思いました。相手を知るというのは人にも言えることだなと。

    クマに出会うことはないと思うけど面白そうな本なので読んでみます。

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    1. お家の前でキツネを見たのはすごいね!!

      そうなの。自分が住む町にもいろいろな野生動物がいるんだよ。
      わたしなんか数年前までイノシシすら見たことがなかった。ましてやバイト先から帰るときに工業地帯でアライグマを見たときは二度見したよ。「えっ、タヌキ? ってゆーか、あなたアライグマ?!」みたいな(笑)。

      わたしは動物が好きだから、姿を見られたらうれしい。
      でも危険でもあるから、自分からは避けるようにしてる。
      それがすうんさんの言うように、彼らの生活圏を守っていい距離感を保つことにつながっていれば、と切に願っているよ。

      このクマの本は、本当におすすめ。
      図書館で借りたんだけど、買うべきか悩むぐらい。
      少なくともまた借りるな。
      主に木々の新芽やコケ、アリ、小さな果実など、そういう小さい物を食べてあの大きな体を維持しているクマがいじらしくけなげに思える。

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