北海道の思い出 2025

 
9月3日から7日にかけての北海道旅行では、大雪山系の旭岳とその周辺を歩いてきました。
熊鈴とホイッスルに加えて熊スプレーをレンタル。
大雪山は緯度が高いところにあるので、本州の3000m級の山に匹敵する厳しい気象条件になります。
旅の期間に最低気温が5度~0度ぐらいまで下がることが予想され、強風が吹いても風をさえぎるものがなく、霧などで視界不明瞭になった場合、登山道を外れやすいというリスクがありました。

吹きっさらしMAX状態の場所。
こんなに平らな場所が標高2000メートル前後で続く。

しかも雪が解けているこの時期は、水のとれる場所が非常に限られています。
ヒグマ、気象条件、水、夏バテで体力が落ちていることを考慮して、今回は登山客の多いルートを日帰りで歩くことにしました。

わたしが旭岳に登った日は、この上ない好天に恵まれて最高の登山日和。
風も無風から1mぐらい。
ロープウェイを使って標高1600mまで上がれるため、何百人もの人がいました。


こんな視界のいい日にロープウェイ駅と旭岳を往復するだけなら、熊鈴もいらないと思いました。
旭岳を越えてからは登山客の数が減るものの、それでもたくさんの人がいます。
この日最大の課題は、クマや気候の厳しさではなく、どうやって人目を避けて用を足すかだったぐらいです。
それでもいつか歩いてみたいと思っている縦走路がずっと見渡せたのには感動しました。
何度も足を止めて景色に見とれてしまい、なかなか前に進みませんでした。



ロープウェイ駅の反対側から見た旭岳

活火山に湿原、お花畑、奇岩、徒渉、温泉と、飽きることのないバラエティに富んだルート。
でも正直、その日歩いた道は「観光登山道」だと思いました。
景色の美しさや、わかりやすく整備の行きとどいた安全な道に感謝しつつも、普段山を歩くときに感じているありがたみを、ほとんど感じなかったのです。
わたしは大雪のきれいなところだけを〝見ました〟。
厳しい条件がてんこ盛りで、それらを最初から全部体験するのは、少なくとも今の自分にはリスクが高すぎると思い、今回のルートを選んだのは自分。
でも印象の強さでいうと、ロープウェイを使わずに旭岳の5~6合目までを歩いた前日の方が、いつ遭遇するかわからないヒグマの恐怖や、視界が開けたときのありがたみが心に残っています。

前日歩いた道は、入った瞬間に「嫌だな」と感じ、何度も引き返すことを考えるほど見通しが悪かったです。
せめて帰りはロープウェイを使おうと思うくらい、一人で歩くことが怖かった。
他の人もいないので、刺激臭を出す獣よけ線香も使用。
クマ対策全投入です。

ここもしっかりと藪を刈ってくださっている一般登山道で、
地図を見る必要もない、非常にわかりやすい一本道。
ただ歩く人が少ないことと、笹藪に囲まれた状態が続くため、わたしはホイッスルを吹きながら、いつでも熊スプレーを噴射できる状態でドキドキしながら歩きました。

やっと視界が開けたところ。
歩いてきた道を振り返る。

そしてロープウェイを使った登山道に合流。
さっきまでドキドキしていたのが信じられないくらい、安全だと感じる空間でした。

帰りは笹藪に囲まれた道を歩くのにも慣れ、スイスイ山を下りることができました。
そして下山したときの達成感よ!
「無事に下りられてよかった~!!」と心から思いました。

結局自分は、山の裏と表(厳しさと美しさ)、人のいない自由と開放感を求めているのだと思いました。
厳しいのは嫌。 本当に嫌なんだけど、観光登山は山の表面を見るだけで、自分の中に何も残さない。

今回は時間の都合でロープウェイを使った旭岳周遊をしましたが、登山口から笹藪の道を通って旭岳に到達していたら、そのあとの景色は違って見えたかもしれません。
クマに遭遇する恐怖に怯え、一人でドキドキしながら歩いたあとであれば、たくさんの人がいる安全・快適な道にもっと感謝できたはずです。
薄暗い笹藪から一気に開けた稜線歩きは、もっと気持ちよかったでしょう。

自分の求めるものをより鮮明に自覚できたのは、いつもと違う山歩きをしたおかげ。
まだまだ本当の大雪を体験するには経験の足りない自分ではありますが、もっともっと経験を積んで、本当の大雪に出会いたいという思いを強めた山行でした。

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